薬局を開業するには?必要な条件や手続の流れを解説

薬局を開業するには?必要な条件や手続の流れを解説

全国の薬局の件数は増加の一途をたどっており、2020年度末時点で、全国に6万件以上の薬局が存在しています(厚生労働省:令和2年度衛生行政報告例の概況)
にもかかわらず、薬局の開設手続についてはインターネット上の情報が少ないという現実もございます。

この記事では、増え続ける薬局市場の中で、これから薬局の開設を考えている方向けに、薬局開設手続に必要な許可の条件などの全体像を解説いたします。

この記事は、こんな方にオススメです

  • これから薬局の開設を検討している方

目次

薬局を開設するために

薬局の定義

まず、薬局はどのような法律で規制がされているのかを確認します。

薬局についての規制は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律という法律で定められています。
いわゆる薬機法と略称で呼ばれることが多く、医療機器や医薬品、化粧品等について定めている法律の中で、薬局に関するルールも定められています。

この法律の中で、薬局とは

  • 薬剤師が、販売や授与の目的で、調剤業務や、薬剤と医薬品の適正な使用に必要な情報の提供および薬学的知見に基づく指導の業務を行う場所
  • 薬局の開設者があわせて行う医薬品の販売業に必要な場所を含む
  • ただし、病院、診療所、飼育動物診療施設の調剤所は含まない

と定義されています(薬機法第2条第12項)

少しだけ因数分解すると、

薬剤師が、販売・授与目的で
①調剤業務
②薬剤・医薬品の適正使用に必要な情報提供業務
③薬剤・医薬品の適正使用に必要な薬学的知見に基づく指導業務
を行う場所

のことを薬局として定義しています。

薬局開設には許可が必要

薬局を開設するためには、薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けなければならないとされています薬機法第4条第1項)
ただし、薬局の所在地が地域保健法第5条に基づいて保健所を設置する市か、東京都の特別区(23区)の場合は、その市・特別区の長の許可を受けることになります(薬機法同条同項カッコ書き)

地域保健法に基づいて保健所を設置する市は、具体的には以下のとおりです。

  1. 政令指定都市
  2. 中核市
  3. 小樽市、町田市、藤沢市、茅ヶ崎市、四日市市

これらの地域に薬局を開設する場合は、許可を出す主体が都道府県知事ではなく、各市の市長や東京23区の区長ということになります。

薬局開設許可の条件

許可条件を満たさないと許可が出ないことがある

薬局の開設許可には、様々な基準が設定されており、それらの基準をどれか1つでも満たさない場合は、都道府県知事等の許可権者は、許可を与えないことができるとされています(薬機法第5条)

薬局の許可を取得するために必要な基準は、大きく分けると
①薬局の構造設備
②薬局の業務体制
③薬局開設者(法人の場合や薬事業務に責任のある役員)の人的基準
の3つに分類可能です。

構造設備に関する許可基準

構造設備に関する基準については、すべての薬局で満たさなければいけない基準と、営業方法や取り扱う薬品によっては満たさなければいけない基準に分けることが可能です(薬機法第5条第1号、薬局等構造設備規則第1条)

すべての薬局で必要な構造設備基準

すべての薬局で満たす必要がある構造設備基準
  1. 容易に出入りできる構造で、薬局であることが外観から明らかなこと
  2. 換気が十分で、清潔なこと
  3. 他の薬局、店舗販売業の店舗、常時居住する場所、不潔な場所から明確に区別されていること
  4. 面積はおよそ19.8㎡以上で、薬局の業務を適切に行うことができる
  5. 医薬品の常時陳列場所、調剤された薬剤や医薬品を交付する場所の明るさは60ルクス以上、調剤台の上は120ルクス以上の明るさを確保すること
  6. 冷暗貯蔵のための設備があること
  7. のかかる貯蔵設備があること
  8. 貯蔵設備を設ける区域が、他の区域から明確に区別されていること
  9. 以下の条件に適合する調剤室を設置すること
    • 6.6㎡以上の面積
    • 天井、床は板張り、コンクリート、これらに準じるものであること
    • 薬剤・医薬品の購入者等が進入することができない措置が採られていること
    • 薬剤師不在時間がある薬局は、閉鎖できる構造であること
      薬剤師不在時間
      …開店時間のうち、その薬局で調剤業務に従事する薬剤師が、薬局以外の場所で調剤業務を行うため、やむを得ず、一時的にその薬局で薬剤師が不在になる時間のこと
      開店時間

      …営業時間のうち、特定販売だけを行う時間を除いた時間のこと
      特定販売

      …その薬局で行う、薬局以外の場所にいる人への一般用医薬品・薬局製造販売医薬品の販売・授与のこと
  10. 以下の条件に適合する情報提供・指導をするための設備を設置すること
    • 調剤室に近接する場所にあること
    • 要指導医薬品を陳列する場合は、要指導医薬品陳列区画の内部または近接する場所にあること
    • 第一類医薬品を陳列する場合は、第一類医薬品陳列区画の内部または近接する場所にあること
    • 指定第二類医薬品を陳列する場合は、指定第二類医薬品を陳列する設備7m以内の範囲にあること
    • 2以上の階に医薬品を陳列し、交付する場所がある場合は、各階の陳列・交付場所の内部にあること
  11. 調剤に必要な以下の設備・器具があること
    • 液量器、温度計、水浴、調剤台、軟膏板、乳鉢と乳棒、はかり(感量10mg、100mgのもの)、ビーカー、ふるい器、へら(金属製および角製または類するもの)、メスピペット、メスフラスコorメスシリンダー、薬匙(金属製および角製または類するもの)、ロート、調剤に必要な書籍

特定の薬局で必要な構造設備基準

特定の薬局で満たす必要がある構造設備基準
  1. 要指導医薬品・一般用医薬品を販売・授与する場合、開店時間のうち、当該医薬品を販売・授与しない時間あるときは、当該医薬品の陳列・交付場所を閉鎖することができる構造
  2. 要指導医薬品を販売・授与する場合、以下の条件に適合すること
    • 要指導医薬品を陳列するのに必要な陳列棚その他の設備である「陳列設備」があること
    • 陳列設備から1.2mの範囲内に医薬品の購入者等が進入することができない措置が採られていること
    • 開店時間のうち、要指導医薬品を販売・授与しない時間がある場合は、当該医薬品陳列区画を閉鎖できる構造であること
  3. 第一類医薬品を販売・授与する場合、以下の条件に適合すること
    • 第一類医薬品を陳列するのに必要な陳列設備があること
    • 陳列設備から1.2mの範囲内に医薬品の購入者等が進入することができない措置が採られていること
    • 開店時間のうち、第一類医薬品を販売・授与しない時間がある場合は、当該医薬品陳列区画を閉鎖できる構造であること
  4. 薬局製造販売医薬品の製造許可を受けている薬局の場合は、試験検査に必要な以下の設備・器具があること
    • 顕微鏡orルーペor粉末X線解析装置のいずれか、試験検査台、デシケーター、はかり(感量1mgのもの)、薄層クロマトグラフ装置、比重計or振動式密度計、ph計、ブンゼンバーナーorアルコールランプ、崩壊度試験器、融点測定器、試験検査に必要な書籍
  5. 営業時間のうち、特定販売だけを行う時間がある場合は、厚生労働大臣または都道府県知事(薬局の所在地が地域保健法第5条に基づいて保健所を設置する市か、東京都の特別区(23区)の場合は、その市・特別区の長)が特定販売の実施方法に関する適切な監督をするために必要な設備があること

このほか、放射性医薬品を取扱う場合などはさらに詳細な構造設備基準が設定されています。

業務体制に関する許可基準

薬局の開設許可を取得するためには、薬局そのものの構造設備以外にも、実際に薬局を営業していくための業務体制についての基準も定められており、構造設備基準と同様に、全ての薬局でクリアすべき基準と、取り扱う薬品等によってはクリアしなければいけない基準とに分類可能です(薬機法第5条第2号、薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令第1条)

すべての薬局で必要な業務体制基準

すべての薬局で満たす必要がある業務体制基準
  1. 薬局の開業時間内は、常時、調剤業務に従事する薬剤師が勤務していること
  2. 調剤業務に従事する薬剤師の数が、その薬局の一日平均取扱処方箋数を40で割って算出した数以上であること
    一日平均取扱処方箋数
    …前年の総取扱処方箋数を、前年の業務稼働日数で割って算出した数

    …前年の業務稼働日数が無い場合、3か月未満の場合は、推定による数字
    総取扱処方箋数
    …前年に取扱った眼科、耳鼻咽喉科、歯科の各処方箋数に2/3を掛けた数と、その他の診療科の処方箋数の合計数
  3. 営業時間内or営業時間外で相談を受ける時間内は、調剤された薬剤・医薬品の購入者等から相談があった場合に、調剤された薬剤・薬局医薬品・要指導医薬品・一般用医薬品の適正使用のために必要な情報提供、指導を行うための体制を備えていること
  4. 調剤業務に従事する薬剤師の、週当たり勤務時間数(特定販売だけに従事する勤務時間数は除外する)の総和が、その薬局の開店時間の1週間の総和以上であること
    週当たり勤務時間数
    …1週間あたりの通常の勤務時間数
  5. 調剤業務に関する医療の安全確保のため、 指針の策定、従業者研修の実施等の必要な措置が講じられていること
  6. 調剤された薬剤の適正使用のために必要な情報提供、指導、その他の調剤業務に関する適正な管理を確保するため、指針の策定、従業者研修の実施等の必要な措置が講じられていること
  7. 上記5、6の必要な措置については、以下の内容を含むこと
    • 医薬品の安全使用のための責任者の設置
    • 従事者から薬局開設者への事故報告体制の整備
    • 医薬品の貯蔵設備を設ける区域に立ち入ることができる人の特定
    • 医薬品の安全使用、調剤された薬剤や医薬品の情報提供・指導業務に関する手順書の作成と、手順書に基づく業務の実施
    • 調剤・医薬品の販売・授与業務に関する適正な管理のための業務に関する手順書の作成と、手順書に基づく業務の実施
    • 薬剤師不在時間がある薬局は、その時間の薬局の適正な管理のための業務に関する手順書の作成と、手順書に基づく業務の実施
    • 医薬品の安全使用、調剤された薬剤や医薬品の情報提供・指導のために必要な情報の収集と、調剤の業務に関する医療の安全・適正な管理、医薬品の販売・授与業務についての適正な管理の確保を目的とした改善のための方策の実施

特定の薬局で必要な業務体制基準

特定の薬局で満たす必要がある業務体制基準
  1. 1日あたりの薬剤師不在時間は、4時間orその薬局の1日の開店時間の1/2のうち、短い方の時間を超えないこと
  2. 薬剤師不在時間内は、その薬局の管理を行う管理薬剤師が、薬剤師不在時間内にその薬局で勤務する従業者と連絡できる体制を備えていること
    管理薬剤師
    ①薬局開設者が薬剤師の場合、その薬剤師
    ②①の場合で、その薬局で薬事に関する実務に従事する薬剤師のうちから指定された者
    ③屋局開設者が薬剤師以外の場合で、その薬局で薬事に関する実務に従事する薬剤師のうちから指定された者
  3. 薬剤師不在時間内に調剤を行う必要が生じた場合に、近隣の薬局を紹介すること。または、調剤に従事する薬剤師がすみやかに薬局に戻ることなどの必要な措置を講じる体制を備えていること
  4. 要指導医薬品・第一類医薬品を販売・授与する薬局の場合、要指導医薬品・第一類医薬品を販売・授与する営業時間内は、常時、その薬局に医薬品の販売・授与に従事する薬剤師が勤務していること
  5. 第二類医薬品・第三類医薬品を販売・授与する薬局の場合、第二類医薬品・第三類医薬品を販売・授与する営業時間内は、常時、その薬局に医薬品の販売・授与に従事する薬剤師か登録販売者が勤務していること
  6. 要指導医薬品・一般用医薬品を販売・授与する薬局の場合、その薬局で要指導医薬品・一般用医薬品の販売・授与に従事する薬剤師・登録販売者の週当たり勤務時間数の総和を、その薬局内の要指導医薬品の情報提供・指導を行う場所、一般用医薬品の情報提供を行う場所の数で割って算出した数が、要指導医薬品・一般用医薬品を販売・授与する開店時間の一週間の総和以上であること
  7. 要指導医薬品・一般用医薬品を販売・授与する薬局の場合、要指導医薬品・一般用医薬品を販売・授与する開店時間の1週間の総和が、その薬局の開店時間の1週間の総和の1/2以上であること
  8. 要指導医薬品・第一類医薬品を販売・授与する薬局の場合、その薬局で要指導医薬品・第一類医薬品の販売・授与に従事する薬剤師の週当たり勤務時間数の総和を、その薬局内の要指導医薬品の情報提供・指導を行う場所、第一類医薬品の情報提供を行う場所の数で割って算出した数が、要指導医薬品・第一類医薬品を販売・授与する開店時間の一週間の総和以上であること
  9. 要指導医薬品を販売・授与する薬局の場合、要指導医薬品を販売・授与する開店時間の一週間の総和が、要指導医薬品・一般用医薬品を販売・授与する開店時間の一週間の総和の1/2以上であること
  10. 第一類医薬品を販売・授与する薬局の場合、第一類医薬品を販売・授与する開店時間の一週間の総和が、要指導医薬品・一般用医薬品を販売・授与する開店時間の一週間の総和の1/2以上であること
  11. 医薬品を販売・授与する薬局の場合、薬局医薬品・要指導医薬品の適正使用のために必要な情報提供・指導、一般用医薬品の適正使用のために必要な情報提供、その他の医薬品の販売・授与業務(医薬品の貯蔵に関する業務を含む。)についての適正な管理を確保するため、指針の策定、従業者研修の実施(特定販売を行う薬局の場合は、特定販売に関する研修を含む。)等の必要な措置が講じられていること
  12. 上記11の必要な措置には以下の内容を含むこと
    • 医薬品の安全使用のための責任者の設置
    • 従事者から薬局開設者への事故報告体制の整備
    • 医薬品の貯蔵設備を設ける区域に立ち入ることができる人の特定
    • 医薬品の安全使用、調剤された薬剤や医薬品の情報提供・指導業務に関する手順書の作成と、手順書に基づく業務の実施
    • 調剤・医薬品の販売・授与業務に関する適正な管理のための業務に関する手順書の作成と、手順書に基づく業務の実施
    • 薬剤師不在時間がある薬局は、その時間の薬局の適正な管理のための業務に関する手順書の作成と、手順書に基づく業務の実施
    • 医薬品の安全使用、調剤された薬剤や医薬品の情報提供・指導のために必要な情報の収集と、調剤の業務に関する医療の安全・適正な管理、医薬品の販売・授与業務についての適正な管理の確保を目的とした改善のための方策の実施

欠格事由に該当しないこと

欠格事由とは、薬局を開設するのにふさわしくない理由、という意味で捉えていただければOKです。
欠格事由は全部で7項目定められていて(薬機法第5条第3号)、以下の1~7のどれか1つでも当てはまってしまう場合には、欠格事由に該当して許可が出ない可能性がある、という扱いになります。

欠格事由に該当する項目
  1. 以下の許可を取り消されて、取消しの日から3年を経過していない
    • 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の製造販売業許可
    • 医薬品、医薬部外品、化粧品、再生医療等製品の製造業許可
    • 医療機器の修理業許可
    • 薬局開設許可、医薬品の販売業許可、医療機器の販売業・貸与業許可、再生医療等製品の販売業許可
  2. 以下の登録を取り消されて、取消しの日から3年を経過していない
    • 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器の製造業登録
  3. 禁錮以上の刑となり、刑の執行が終わってから、または刑の執行を受けることがなくなってから、3年を経過していない
  4. 以下の法令や法令に基づく処分に違反して、その違反行為があった日から2年を経過していない
    • 薬機法、薬剤師法、臨床研究法、麻薬及び向精神薬取締法、毒物及び劇物取締法、大麻取締法、覚醒剤取締法、あへん法、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、再生医療等の安全性の確保等に関する法律、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律
  5. 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤の中毒者
  6. 精神の機能の障害で、薬局開設者の業務を適正に行うにために必要な認知、判断、意思疎通を適切に行うことができない者
  7. 薬局開設者の業務を適切に行うための知識、経験があるとは認められない者

薬局の管理者について

誰を管理者として選ぶべきなのか

薬局を開設するにあたって、薬局開設者はその薬局を実地に管理する管理者を配置する必要があります(薬機法第7条)
管理者の配置については、以下のように定められています。

薬局の開設主体配置すべき管理者
薬剤師
(第7条第1項)
①開設者である薬剤師本人
②ただし、その薬局で薬事実務に従事する他の薬剤師の中から指定することも可能
薬剤師以外
(第7条第2項)
その薬局で薬事実務に従事する薬剤師の中から指定する

その他、薬局の管理者は、薬機法第8条第1項・第2項の義務、同条第3項が規定する薬機法施行規則第11条の業務を遂行し、同規則第11条の事項を遵守するために必要な能力・経験を有していることが必要で(薬機法第7条第3項)、実地管理する薬局以外の場所で業として薬局の管理や薬事実務に従事する者であってはならないとされています(薬機法第7条第4項)

なお、薬機法施行規則第11条は、薬機法等の一部を改正する法律の一部施行に伴う関係省令の整備等に関する省令(令和3年1月29日厚生労働省令第15号)による改正で全文削除されたため薬局の管理者は、薬機法第8条第1項、第2項の義務を遂行すれば良いことになっています。

また、薬機法第7条第4項による薬局管理者の兼業等禁止については、薬局の所在地の都道府県知事(保健所設置市・特別区の長)の許可を受けたときは、例外的に認められます(同条同項ただし書き)

薬局の管理者の義務

薬局の管理者には、以下の義務等が課されています(薬機法第8条)

管理者の義務等
  1. 保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局に勤務する薬剤師その他の従業者を監督し、その薬局の構造設備、医薬品その他の物品を管理し、その他その薬局の業務について、必要な注意をすること
  2. 保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局の業務について、薬局開設者に対して必要な意見を書面により述べること
  3. 薬局の管理者が行う薬局の管理に関する業務、薬局の管理者が遵守すべき事項については、厚生労働省令(薬機法施行規則第11条)で定める

ただし、先にもお伝えしたように、薬機法施行規則第11条は、令和3年1月29日厚生労働省令第15号による改正で全文削除されたため、本省令が施行された令和3年8月1日以降は、上記3の義務については具体的な業務・遵守すべき事項についての定めが置かれていない状況となっております。

薬局開設許可申請のおおまかな流れ

STEP
保健所への事前相談を行う

構造設備基準や業務体制基準等を満たしているかの確認をするため、事前に保健所での事前相談を行います。
具体的な事業計画や、開設予定の薬局の平面図を持参します。

STEP
厚生局で保険薬局指定のスケジュールを確認する

薬局開設後に保険適用を受けるためには、厚生局で保険薬局の指定を受ける必要があります。
指定申請には、申請締切日と指定日のスケジュールがあるため、事前に管轄の地方厚生局に確認をします。
一般的には、保険薬局の指定を受けたい月の前月10日ごろまでに指定申請をすると、翌月1日から保険薬局の指定を受けられます。
例:4月1日開業としたい場合は、3月10日ごろまでに指定申請が必要になる

STEP
薬局開設許可申請

上記保険薬局の指定を受けることを考えると、営業開始予定日の2か月程度前には申請をします。
薬局の内装工事などを伴う場合には、開業予定日の2か月程度前には内装工事が完了して、什器搬入なども完了させて、営業を開始できる状態にしておきます。
例:4月1日開業としたい場合は、2月上旬には保健所への開設許可申請をする

STEP
実地調査

申請時に提出した平面図どおりに、薬局の構造設備基準等を満たしているかどうかの実地調査が行われます。
許可申請後、おおむね1~2週間程度経った後に調査が行われることが一般的です。
内装工事等を伴う場合、工事が完全に完了して、いつでも営業開始できる状態である必要があります。

STEP
許可・許可証の交付

実地調査完了後、おおむね1~2週間で保健所から許可証が交付されます。
許可のタイミングとしては、開業予定日の1か月前には、許可を受けておきたいところです。
例:4月1日開業としたい場合は、2月末~3月頭には許可を受けておきたい

STEP
保険薬局の指定申請

STEP2でも触れたとおり、開業予定日の前月10日ごろまでに申請をしないと、翌月1日からの指定を受けることができないため、ここのスケジュール管理は厳密に行う必要があります。
各厚生局で微妙にスケジュールが違うため、必ず事前にスケジュール確認をしておきます。
例:4月1日開業としたい場合は、3月10日ごろまでに指定申請をする

STEP
保険薬局の指定

上記の例でいうと、3月10日ごろまでに指定申請をすると、同月25日ごろまでに指定のための審査会が行われ、特段の問題が無ければ4月1日付で保険薬局の指定を受けることができます。
保険薬局の指定を受けることができれば、保険適用を受けることができるため、当初の開業予定日に無事に開業することが可能です。

薬局開設手続申請の必要書類・手数料

薬局開設許可申請書類の提出先

薬局の開設許可申請をするためには、薬局の所在地の都道府県知事宛に提出することとされています(薬機法第4条第2項)
薬局の所在地が、地域保健法で定める保健所設置市や東京都の特別区である場合は、書類の宛先はその市・特別区の長となります。

細かい論点ですが、保健所を設置する都道府県、市、特別区の長は、その職権に基づく地域保健法第6条各号に規定された事項に関する事務について、権限を保健所長に委任することができるとされています(地域保健法第9条)
薬局に関する事務については、同法第6条第5号で「医事及び薬事に関する事項」として規定されており、これの規定を受けて、各自治体では保健所長に権限を委任する条例や規則を定めて、薬局の開設許可に関する事務の権限を保健所長へと引き渡しています。

したがって、多くの自治体では、薬局開設許可の申請は、各保健所の窓口で受け付けることとしています。

薬局開設許可申請に必要な書類

一般的に薬局開設許可申請で提出が必要な書類は以下のとおりです。

必要な書類の種類備考
申請書
薬局の平面図
薬局管理者の週当たり勤務時間数、薬剤師名簿の登録番号・登録年月日を記載した書類
管理者を指定して実地管理させる場合は、その管理者の氏名・住所を記載した書類
管理者を指定して実地管理させる場合は、管理者との雇用契約書等の使用関係が分かる書類
開設者である薬剤師、管理者である薬剤師以外に薬事実務に従事する薬剤師・登録販売者を置く場合は、
その薬剤師・登録販売者の氏名・住所を記載した書面
開設者である薬剤師、管理者である薬剤師以外に薬事実務に従事する薬剤師・登録販売者を置く場合は、
薬剤師・登録販売者の別、週当たり勤務時間数、薬剤師名簿の登録番号・登録年月日、
販売従事登録の登録番号・登録年月日を記載した書類
開設者である薬剤師、管理者である薬剤師以外に薬事実務に従事する薬剤師・登録販売者を置く場合は、
薬剤師・登録販売者の雇用契約書等の使用関係が分かる書類
医薬品の販売業やその他の業務を行う場合は、その業務の種類を記載した書類
医薬品の販売業を行う場合は、薬局で販売・授与する医薬品の区分を記載した書類
医薬品の販売業を行う場合で、一般用医薬品の特定販売をするときは、
通信手段、医薬品の区分、特定販売をする時間と特定販売のみをする時間があればその時間、
特定販売を行う旨の広告に申請書に記載した薬局の名称と異なる名称を表示するときはその名称、
インターネットを利用して公告するとき主たるホームページのアドレスとその構成の概要、
都道府県知事または厚生労働省が適切な監督を行うために必要な設備の概要
登記事項証明書
一日平均取扱処方箋数を記載した書類
申請者(法人の場合は業務を行う役員)の医師の診断書
放射性医薬品を取扱う場合は、放射性医薬品の種類、取扱いのために必要な設備の概要を記載した書類
健康サポート薬局の表示をするときは、厚生労働大臣が定める基準に適合することを明らかにする書類
▲は該当する場合に提出が必要な書類

その他にも必要になる書類があるので、詳細については、開設しようとする薬局の所在地の自治体のホームページなどをご確認いただくことをオススメしております。

薬局許可申請の手数料

薬局許可申請には手数料がかかります。
具体的な金額については、各自治体が個別で定めているため、開設しようとする薬局の所在地の自治体にご確認いただくことをオススメしております。

東京都の場合は、①東京23区ごと、②八王子市、③町田市、④その他のエリアで申請手数料がそれぞれ決められております。

薬局に関するその他の手続

薬局は開設許可を取得したらそれで終わりではありません。
許可の取得後も、様々な手続が必要になりますが、以下ではその一例を掲載いたします。

保険薬局の指定申請

薬局は、開設しただけでは健康保険等の医療保険法による療養の給付を受けることができません。
つまり、調剤等した薬剤について、患者さんが全額負担することになります。
しかし、そのような保険の適用が受けられない薬局には誰も来ないため、保険適用を受けるために「保険薬局」の指定を受けることになります。

保険薬局の指定は、薬局の所在地を管轄する地方厚生局の事務所に対して行うことになります。

薬局開設許可の更新

薬局の開設許可には、有効期間があります。
薬局は、6年に一度許可の更新を受けないと、許可の効力を失うとされています(薬機法第4条第4項)
薬局開設許可の更新申請は、現在の許可の有効期間内に提出をしますが、自治体によってはたとえば期限が切れる1か月前までに提出するよう、指導をしているところもあるため、事前に確認が必要です。

変更届

一定事項に変更があった場合には、変更届の提出が必要です。
変更届には、事後の届出(薬機法第10条第1項)と事前の届出(同法同条第2項)があります。
事後の届出は、30日以内に変更届の提出が必要です。

事後の届出が必要な変更
  1. 薬局開設者の氏名、住所
    開設者が法人の場合は、業務を行う役員の氏名を含む
  2. 薬局の構造設備の主要部分
  3. 通常の営業日、営業時間
  4. 薬局の管理者の氏名、住所、週当たり勤務時間数
  5. 薬局の管理者以外の薬事実務に従事する薬剤師・登録販売者の氏名、週当たり勤務時間数
  6. 放射性医薬品を取扱うときは、その種類
  7. 薬局で併せ行う医薬品の販売業やその他の業務の種類
  8. 薬局で販売・授与する医薬品に関する、薬局医薬品、薬局製造販売医薬品、要指導医薬品、第一類医薬品、指定第二類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬品の区分
事前の届出が必要な変更
  1. 薬剤師不在時間の有無
  2. 相談時・緊急時の電話番号、その他連絡先
  3. 特定販売の実施の有無
  4. 特定販売を行う際の通信手段
  5. 「事後の届出が必要な事項」の8の医薬品の区分
  6. 特定販売をする時間と特定販売のみをする時間があればその時間、
  7. 特定販売を行う旨の広告に申請書に記載した薬局の名称と異なる名称を表示するときはその名称
  8. インターネットを利用して公告するとき主たるホームページのアドレスとその構成の概要
  9. 都道府県知事または厚生労働省が適切な監督を行うために必要な設備の概要
  10. 健康サポート薬局である旨の表示の有無

薬局開設に関するお手続で気になること、相談してみませんか?

行政書士TLA観光法務オフィスでは、医療や薬事に関するお手続のサポートをしております。
薬局の開設に関する情報はインターネット上でも情報が少なく、役所の手引きも無く、薬局を開設しようと思っても事前に情報が取りにくいのが現状です。

また、薬局の開設許可を出す権限を持っている自治体ごとに運用が異なることもあるため、たとえば東京都であれば、23区、八王子市、町田市、その他の地域と26通りの運用があるといっても過言ではありません。

もし、薬局の開設手続について気になることがございましたら、ぜひ一度私どもにお話をお聞かせください。
ご相談は下記お問い合わせフォームより受け付けております。
当面の間、ご相談には無料で対応しております。
あなたからのご連絡をお待ちしております。

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