認可が必要な定款変更と、届出が必要な定款変更の違い

認可が必要な定款変更と、届出が必要な定款変更の違い

医療法人は、他の法人と同じように、法人としての組織や統治ルールを定めた定款を作成する必要があります。
株式会社や一般社団法人と異なるのは、定款の変更をして法人の意思決定機関で決定をすれば効力が発生するわけではなく、監督行政庁の認可を受けないと定款変更の効力が認められないというところにあります。

この記事では、どのような定款の変更が認可を受ける対象となるのか、ということを中心に解説しております。

この記事は、こんな方にオススメです

  • 医療法人の定款の変更を検討しているドクターの皆様
  • 顧問先から定款の変更の相談を受けた、弁護士や公認会計士、税理士等の士業の先生方

目次

医療法人社団と定款

定款の作成

定款に必ず記載する内容

医療法人社団を設立しようとする場合は、法律で最低限定めることとされている内容を記載した定款を作成する必要があります(医療法第44条第2項)。
医療法人財団の場合は、定款ではなく寄付行為で所定事項を定めます。

法律で最低限定めることとされている内容は、全部で11項目あります。

定款に必ず記載する内容(医療法第44条第2項各号)
  1. 目的
  2. 名称
  3. 開設しようとする病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院の名称と開設場所
  4. 事務所の所在地
  5. 資産、会計に関する規定
  6. 役員に関する規定
    ※設立当初の役員の定めを含む(医療法第44条第4項)
  7. 理事会に関する規定
  8. 医療法人社団の場合は、社員総会と社員資格の得喪に関する規定
    ※医療法人財団は、評議会と評議員に関する規定
  9. 解散に関する規定
  10. 医療法人社団の場合は、定款の変更に関する規定
    ※医療法人財団は、寄付行為の変更に関する規定
  11. 公告の方法

定款に記載しないと効果のない内容

医療法人には、定款に記載をしないと効果が認められない内容があります。
医療法では、たとえば以下のような内容については定款に記載がなければ効力が認められません。

定款に記載がなければ効力が認められない内容(抜粋)
  1. 付帯業務に関する規定(医療法第42条)
  2. 社会医療法人の収益業務に関する規定(医療法第42条の2)
  3. 会計年度に関する規定(医療法第53条)
  4. 基金に関する規定(医療法施行規則第30条の37)

定款に記載しても効果のない内容

定款には、記載が義務付けられている項目、記載をしないと効力が認められない項目の他に、記載をしても効果が発生せず無効とされてしまう項目もあります。
具体的には、医療法の規定により、社員総会で決議が求められている事項について、社員総会以外の機関が決定することを内容とする定款の定めは、無効とされます(医療法第46条の3第2項)。

定款の変更

医療法人の定款を変更する場合、思い立ったときにいつでも変更できるわけではありません。
定款は、その法人の運営方法や組織のあり方を定めている重要なルールのため、必ず意思決定機関の決定を経由する必要があります。

医療法人社団の意思決定機関は社員総会なので、定款の変更も社員総会の決議を経る必要があります(医療法第54条の9第1項)。

社員総会の決議を経た定款の変更内容は、そのまま有効なものとして扱われるわけではありません。
定款の変更については、医療法人の認可を受けている都道府県知事に対して、定款の内容を変更する旨の認可申請を行い、都道府県知事から定款変更の認可を受けることによって、変更後の定款内容が有効なものとして扱われます(医療法第54条の9第3項)。

ただし、厚生労働省令で定める内容に関する定款の変更をした場合には、認可を受ける必要はなく、定款変更後に届出をすることで良いとされています(医療法第54条の9第5項)。

定款変更の認可と届出

定款変更の認可が必要な事項

医療法では、定款の項目のうち厚生労働省令で定める事項以外の項目を変更する場合には、都道府県知事の認可を受けることとされています(医療法第54条の9第3項)。

医療法人の定款では、必ず記載されなければいけない項目が設定されていますが、それ以外にも定款に記載をすることで効力が認められる項目なども存在します。

定款変更の認可を必要としない厚生労働省令で定める事項は、定款に必ず記載することとされている項目のうち、2項目のみです。
これ以外の定款の記載内容を変更する場合には、その変更箇所が定款に必ず記載が必要な内容かどうかには関係なく、認可手続きをする必要があります。

定款変更の届出が必要な事項

定款の変更が効力を有するためには都道府県知事の認可が必要ですが、厚生労働省令で定める事項を変更する場合には、認可不要で、事後の届出をすれば良いこととなっています(医療法第54条の9第5項)。

厚生労働省令で定める事項は、医療法第44条第2項第4号と第12号に関する事項です(医療法施行規則第33条の26)。
医療法第44条第2項第4号に関する事項は、医療法人の事務所の所在地です。
同じく第44条第2項第12号に関する事項は、公告の方法です。
これらを変更する場合だけは、定款の変更後に届出をするだけでOKということです。


医療法人に関するお手続で気になること、相談してみませんか?

行政書士TLA観光法務オフィスでは、医療法人やクリニックに関するお手続のサポートをしております。
医療法人の定款を変更するためには、社員総会や理事会の決議を行うだけでは不十分で、法人内部の手続きをした後に、対行政の手続きが必要になります。

変更内容によっては、認可を受けるまでに数か月の時間を要することになり、想定よりも時間も労力もかかってしまった、ということがよくあります。

もし、医療法人の定款変更について、気になることがございましたら、ぜひ一度私どもにお話をお聞かせください。
ご相談は下記お問い合わせフォームより受け付けております。
当面の間、ご相談には無料で対応しております。
あなたからのご連絡をお待ちしております。

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