医療法人の理事長兼診療所の管理者が管理者を退任する場合の手続

理事長兼管理者が管理者だけ退任する場合の手続

医療法人の理事長を務める方が、医療法人が開設する診療所の管理者(院長)も兼任していらっしゃる事例は多いのではないでしょうか。
このときに、診療所の管理者だけをご子息や他の先生に引き継いで、医療法人の理事長はご自身で継続する、というケースのご相談を多くいただくため、この記事ではそうした場合に必要な手続や注意点について解説いたします。

この記事の想定読者

  • 医療法人の理事長と診療所の管理者を兼任している
  • 事業承継などで診療所の管理者を後任に引き継ぎたい
  • 医療法人の理事長の職務は継続したい
目次

診療所開設許可事項の変更届

まず、診療所の管理者が変更になる場合は、診療所開設許可事項の変更届を10日以内に提出することが必要です(医療法施行令第4条第1項)。
手続先は自治体によっても異なりますが、保健所等の、診療所を管轄している部署であることが多いです。
必要な書類なども自治体によって多少異なりますが、

  • 新しい管理者の方の医師(歯科医師)免許証臨床研修修了登録証
  • 新しい管理者の方の履歴書

などが必要になることが多いです。
また、窓口で原本提示が必要な自治体や、原本提示は不要でコピー書類に原本証明が必要な自治体、原本提示も原本証明も不要でコピーを提出すれば問題ない自治体など、対応が様々なのでそれぞれの自治体で確認が必要です。

保険医療機関指定申請事項の変更届

次に、保険医療機関として指定を受けている場合には、管理者の変更にともなって指定申請事項の変更届の提出が必要です(保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令第8条第1項第1号)。
手続先は、保険医療機関の所在地を管轄する地方厚生局の事務所です。
新しく管理者になる方が既に診療所で勤務しており、常勤・非常勤等の勤務体制に変更が無い場合は、添付書類は不要です。
しかし、管理者となる方が新たに勤務を開始した場合や、非常勤から常勤へ勤務体制が変更になった場合には、保険医登録票のコピーを添付書類として提出する必要があります。

理事長の役員変更登記

医療法では、医療法人が開設する病院や診療所の管理者を、法人の理事に加える必要があるとしています(医療法第46条の5第6項)。
そして、管理者がその職を退任したときには、理事の職を失うとも定められています(医療法第46条の5第7項)。
これは、本人が理事を継続したいかしたくないかという意思に関係なく、管理者の職を退けば自動的に理事の職も失うということを表しています。
そして医療法人の理事長は、医療法人の理事の中から選出することになっているので(医療法第46条の6第1項)、理事の職を失うことで、理事長の職も自動的に失うことになります。

この状態で、理事長の職務を継続したい場合には、社員総会(医療法人社団の場合)で再び理事として選任され、その後理事会で理事長として選出される必要があります。

このように、理事長でもある管理者がその職を退くと、自動的に退任扱いになるため、仮にその後継続して理事長の職を務めるとしても、実態に合わせて理事長の退任と就任の登記申請をする必要があります(組合等登記令第2条第2項、第3条第1項)。
登記は、医療法人の主たる事務所の所在地を管轄する地方法務局です。
登記の内容としては前述のとおり退任と(新規)就任ですが、法務局では基本的には重任扱いで添付書類を提出すれば良いそうです。
したがって、社員総会議事録理事会議事録、理事長の医師(歯科医師)免許証(要原本証明)、社員総会や理事会で席上承諾をしない場合は就任承諾書が必要となります。
詳細は、法務局などで確認をするようにしてください。

医療法人の役員変更届

医療法では、役員に変更があった場合には、理事長の登記申請とは別に役員変更届を都道府県知事宛に遅滞なく提出することになっています(医療法施行令第5条の13)。
今回のような理事長兼管理者が管理者の職だけ退く場合、医療法人の実態としては役員の変動が無かったとしても、法律上は管理者の退任と同時に理事も退任することになるため、登記申請と同じく退任と就任の役員変更届が必要となります。

役員変更届の添付書類については、提出先自治体によってまちまちなので、必ず医療法人の主たる事務所の所在地を管轄する自治体に確認するようにしてください。
自治体によって、退任&新規就任として書類を揃えなければいけない場合と、登記申請と同じく重任扱いとしていくつかの書類添付を省略できる場合があります。

退任&新規就任の場合、一般的には以下の書類が必要になることが多いです。

  • 社員総会議事録
  • 理事会議事録
  • 新理事長の履歴書
  • 新理事長の医師(歯科医師)免許証
  • 新理事長の印鑑証明書
  • 就任承諾書

就任承諾書は、社員総会・理事会で席上承諾しており、議事録にその旨記載があれば省略できる自治体もあります。
また、医師(歯科医師)免許証は、原本提示を求める自治体、原本提示は不要で免許証のコピーに原本証明が必要な自治体、原本提示も原本証明も不要な自治体と様々なので、事前に確認することをお勧めします。

医療法人の登記事項変更登記完了届

医療法では、医療法人の登記事項について、登記をした場合には遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出る必要があります(医療法施行令第5条の12)。
届け出た登記内容が分かるように、登記完了後の医療法人の登記簿謄本の原本を添付します。

ここまでやって、ようやく全ての手続が完了です。

それぞれのクリニックの状況に合わせて、さらに必要な手続が増えることも有ります。
たとえば、後任の管理者が医療法人の理事に加わっていない場合は、理事の就任手続が必要となりますし、クリニックの勤務体制に変更があれば、保険医療機関の変更届で必要な届出事項が追加になります。


医療法人手続のお困りごと、相談してみませんか?

行政書士TLA観光法務オフィスでは、医療法人やクリニックに関するお手続のサポートをしております。
医療法人は医療法で様々な制約を課されており、かなり細かい法律の知識が必要です。
気付いたら、やるべき手続が漏れていた、ということもございます。
今回のケースも、気持ち的にはただ管理者を交代するだけなのに、こんなにも沢山の手続が必要なのか、というご意見もいただきます。
もし、こうした手続でお悩みがございましたら、ぜひ一度私どもにお話をお聞かせください。
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